吾亦紅

街道をゆく 9」 司馬 遼太郎著

 また、司馬さんを読んでいる。先週・先々週と三週ばかりNHKの「ブラタモリ」の高野山を見たので、司馬さんの「高野山みち」を再読。これは朝日文庫の「街道をゆく」の9に入っている比較的短い話。改めて読んで興味を引いたのは「高野聖」の存在。聖といっても僧でなく俗でなく「宗教を売りものにする乞食同然の者」。もっとも中世での話である。彼らが弘法大師の功徳を売り物に諸国を巡り、大師信仰を広めたというのである。あの町石といい、奥の院の競った墓石群といい彼らの内の「大物級の者が、中央、地方の権門勢家に説いて寄進させたものにちがいない」と司馬さん。その大物級の聖のひとりに重源上人の名が出てきたのは驚いた。東大寺の大仏殿の再建に尽力した重源である。春に訪れた播州小野の浄土寺もやはりかれの発願で、勧進聖としては桁外れの人物だったらしい。東大寺にある運慶作の上人像の梅干し顔が目に浮かぶ。重源さんは阿弥陀信仰が深かったようだが、かってはそういう異端も含めて「高野山」であったらしいのだ。

 

 一気に朝晩は小寒いほどになり、昨日は暖房も用意した。何となく元気がでないままに本ばかり読んでいて俳句もできない。

 

 

 

 

     生い立ちの地を離れずに吾亦紅

 

 

 

 

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