爽やか

 久しぶりに出かけた。碧南市藤井達吉現代美術館での絵画展「リアルのゆくえ」を見るためである。半年ほど前、テレビの「美の巨人たち」で犬塚勉さんの存在を知った。写真と見まごうばかりのリアルさ、否写真以上の大気感に溢れた初夏の高原の風景に圧倒され、ぜひ本物を見たいと思っていた。その後、こういう企画展が隣県で催されると知って、これはもうなんとしてでも行かねばと思った次第。犬塚さんの作品は言うまでもないが、この絵画展そのものが実に見応えのある企画で、ため息をついた作品の多さは最近ちょっとなかったほどだ。もう一度じっくり見たいとためらいもなく図録も購入したが、本物にはかなわない。そんな思いに駈られるほど見応えのある作品が多かった。それにしても若死の画家の多いことよ。

 

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 ところで、美術館の向かいに「西方寺」という古刹があり、なんと「清澤満之記念館」という案内があるではないか。清澤満之さんは浄土真宗の偉大な先達。「他力信仰を近代的な問題として取り上げ、内面的深化追求した」人と言われている。活動の拠点が三河にあったことは聞いたことがあったがここだとは意外な出会いであった。ビデオを見せていただき執筆に励まれた部屋などを拝見してきた。満之さんも没年39歳。若い死である。

 

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     夭折の画家の一枚爽やかに