白シャツ

 ぼんやりこの地方のニュースを見ていたら、高山市を訪れる外国人観光客が増えて、今や「特急」の三割は外国人だという。高山も随分有名になったものだと驚く。

 当方が初めて訪れたのは大学時代のサークルの合宿でだった。山沿いのお寺の本堂を借りての合宿で、もちろん当時は高山線蒸気機関車。庫裏を借りて自炊をしたのだが、町中に八百屋というのがなくて「ここらは朝市でかってくるのだ」と教えられたのが忘れられない。今のような作り物めいた町並みではなく、静かな田舎町だったように思う。夜は満天の星空で、誰かが「空が近い」と叫んだことなども覚えている。あれから何回か出かけたが、あの時ほど心に残る思い出はない。キザっぽく言えば、青春の真っ只中。「わたしが一番きれいだったころ」である。

 今日、ある方のブログに柴田翔「されど我らが日々」を取り上げてあったことから、こんな感傷に浸った。この本と高橋和巳「憂鬱なる党派」があの頃の思い出の一角にある。

 

 

 

 

     数式を解く白シャツの腕まくり

 

 

 

 

f:id:octpus11:20170718120519j:plain