「昭和二十年夏 子どもたちが見た日本」 梯由美子著
このところこの人の本が話題で気になっていたのだが、たまたま図書館の棚に著作を見つけた。昭和二十年当時十歳前後だった著名人十人に話を聞いたものである。学童疎開やそこでのいじめ、飢えに苦しんだことなどは何人かに共通する話で、空腹のあまり絵の具を食べたという話もあった。いたいけない子どもたちに兵士になることを勧める大人もいた一方で、信念を曲げなかった大人もいたことなど、子どもでも見るべきことはちゃんと見ていた。中村メイコさんが幼いのに南方の島々まで慰問に行かされていたこと、五木寛之さんが家族の凄惨な様子を目にされてきたことなど、その他の人にとっても戦争体験はその後の生き方のもととなった出来事であったろう。
後書きで筆者は先の地震と津波に触れて、「震災を経験した子供たちが傷を癒し、いつの日か、自分たちが見たものを次世代に語る日がくることを願わずにはいられない。」と書く。そういう思いはあのシリアなどで恐怖にさらされている子供たちにも繋がるものだ。
甥より電話があり、姉への心配は杞憂であった。もっとも症状の深刻さは変わらないが。もう一度うちに連れてきたいというので快諾。正月にでも来られるといいのだが。
筒井筒愛称で呼ぶちやんちやんこ
- 作者: 梯 久美子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/07/09
- メディア: 単行本
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