小六月

 小春日和に誘われて出かけようということになる。池内紀さんではないが日頃から気になる情報を集めている。「2012」とあるからちょっと前の新聞の切り抜きだが、それにしたがって今回は中山道大湫(おおくて)宿へ。中山道は69宿。そのうち岐阜県には四分の一の17宿がある。大湫宿はもっとも標高の高い宿場町だといわれ、35軒ほどの旅籠があったという。
 我が家からは新・旧中山道をひたすら東進、1時間半ほどで到着というところで別道に逸れてまずは道の駅「志野・織部」へ。さすが美濃焼きの地元だけに焼き物が魅力的。廉価の品物から作家名のついた品物まで見るだけでも楽しくてお勧め。H殿は織部のぐい呑を買ったがこれがぐい呑ではなく小皿だったというのがレシートで判明。まあ本人はぐい呑にするつもりでいるから問題はないのだが。
 瑞浪市内で昼を取り紅葉真っ盛りの峠を越えて大湫へ。
山道の先にぽっかりと広がった桃源郷のような山里、これが大湫宿。飲食店も土産物屋も自動販売機もない昔ながらの街道筋。どの家も屋号を掲げているところを見るとかっては旅籠だったに違いない。小学校が本陣の跡でこの地で詠まれた和宮の歌碑がある。

街道端の神明社には樹齢1300年の大杉。高札場なども復元されている。少し歩けば広重が「木曽街道六十九次」で描いた二ッ岩。さらにもう少し歩けば琵琶峠の石畳。石畳は1970年に発掘されその後整備されたと言う。薄暗い杉木立の中の一本道で歩く人影もなく登りきらずに引き返す。
 大湫宿からひとつ前の細久手宿までは結局車で戻ったが途中に見事な一里塚を発見。本当に大きな土饅頭だった。



   行きずりに貰ふあくびや小六月



 右側は「有形文化財指定」のお宅。街道の突き当りが枡形。

 琵琶峠の石畳。下は街道の左右の一里塚

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