秋黴雨(あきついり)

 「古代国家はいつ成立したか」 都出比呂志著
 第一回古代歴史文化賞大賞受賞の書籍である。古代歴史文化賞とは島根県の主催する賞で「古代歴史文化に関する優れた書籍を表彰する」ものらしい。要旨はは考古学の成果をもとに「古代国家に至る初期国家の成立を古墳時代とする」というもの。つまり、3世紀から6世紀前末までの主に前方後円墳の時代、卑弥呼の部族連合から始まり、権力の移動を経ながら徐々に大和中央政権に収斂されていった政治体制を、象徴的な墳墓の形より「前方後円墳体制」と名付け、初期国家と提唱。そしてこの初期国家の中央権力の拡大とともに(日本人という)仲間意識の芽生え・原始日本語の成立・民衆の生活様式の共通化もなったのではないかと推測するものである。因みに筆者は「邪馬台国は大和説」である。
 さて、国家というものがなぜ作られていったか。これについてはまとまって語られてはいないが、鍵となるのは、「鉄」であろう。このあたりは次の学習課題。

 鵙が終日キチキチと猛々しい。よく鳴き続けていると感心する。鵙の高鳴きは乾いた空に似合うのだが、なかなかからっとしない。秋雨前線が停滞。来週も雨マークが多い。



     はんこ屋の手もと灯りや秋黴雨


古代国家はいつ成立したか (岩波新書)

古代国家はいつ成立したか (岩波新書)