「コンビニ人間」 村田 紗耶香著
 H殿が珍しく「芥川賞を読む」などと言って文芸春秋を買ってきた。こんなことは学生時代以来ではないかとびっくり。読み終わったようなので「どうだった」と聞いたら、「面白かった」というから借りた。
 子供の頃から自分の行いに自信が持てなかった主人公、コンビニのマニュアル化された言動を身につけ、その世界での自分の生き方に満足している。ところが、「普通」という世間が「普通」という常識を押し付けてきて彼女も「普通」を目指そうと四苦八苦。(この辺の展開は実にユニークで面白い)だが、彼女はやはりコンビニの世界に自分を見出すという話。極端に誇張された主人公だが、そこまででなくても世の中にはよくいる人物。彼女がどう救われるか気にしつつ読んだが明るい結末でよかった。
 さて、私にとっては久しぶりの芥川賞であった。

 オリンピックで毎朝起き抜けにメダルをチェックしたに日常も終了。今日は台風のせいか異常に蒸し暑いが、明日は「処暑」、秋の気初めて立つ頃である。少しずつ涼しくなってくれるであろうか。



     生えそろふ歯の軽やかに梨を食む