「本能寺の変 431年目の真実」明智憲三郎著
 夫が先に読んで、面白かったというので読んでみた。明智光秀子孫による流布された歴史話へのアンチテーゼである。謀反の動機は名門土岐氏の再興と信長の政権運営への不満と不安とし単純な怨恨説を否定。本能寺の変の真実は、まず信長の仕組んだ家康暗殺計画に始まるとする。光秀はそれを逆手に取り家康と連携し、同心したと思われた細川藤孝は秀吉に内通し、策略の錯綜する中で最終的に勝ったのは秀吉だったと言うのだ。推理小説のような面白い展開であるが情況証拠による説明も多く、やはり歴史の真実は闇の中なのだと思う。それにしてもあの謀反の時、光秀は67歳だったそうだ。当時の寿命を鑑みれば、謀反の動機が何であれ、まさに最後のチャンスに賭けたその気持ちが哀れで悲しい。


     飛鮎の底に雲ゆく流れかな   上島 鬼貫



【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)

【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)