昭和の日(紙魚)

 当地の総社の春祭である。御祭祀神は手力雄命。天磐戸をこじ開けた神様である。怪力の持ち主ということで戦神とされているらしい。昔、織田信長が稲葉城を攻めた時、戦勝祈願をして戦に勝ったということで、信長ゆかりの物や伝説が残されている。以前は喧嘩神輿と駆け馬が祭りの見せ場だったが高度成長期前後に取りやめられてしまった。その後神輿は復活したが、往年の迫力はない。金銀の神輿が軽く揉みあうが、かってのように上へ下へと激しく絡み合うことはない。確か白洲正子さんの本で読んだのだが、神輿が揉みあうのは男女の和合をシンボル化した行為で、その結果として神の再生がなるのだとあった。民族の原始のエネルギーを感じさせる説明だ。土着的なものがなくなってきた現代では神様の再生もほどほどでしか仕方がないのであろう。


     遥かなる昭和よ紙魚日章旗