花の雨

 二十四節気の一つ。清明清明とは、すべてのものが清らかで生き生きとするころのこと。今朝はあいにくの雨。花ちらしの雨か。
 今日より朝ドラで「とと姉ちゃん」とか、盛んに宣伝をしている。朝ドラを見る習慣はないのだが、主人公が大橋鎮子さんということで、少し興味が湧く。主婦業を始めた60年代末から80年代末まで「暮しの手帖」の熱心な読者だった。目次だけ切り取って別綴にし、索引のように利用したりもした。本棚の一部をずっと占めていたバックナンバーを処分したのは二・三年前。啓蒙的なこの雑誌には、本当にお世話になった。今でも数冊は手元に残して利用している。例えば、「ニシンの芯の昆布巻き」。うちのお節の昆布巻きはずっとこの方法だ。記事の中でも気に入っていたのは大橋さんの「すてきなあなた」。発想がおしゃれで魅力的だった。別冊も買い求め、今も本棚にある。三年前に大橋さんが亡くなった時、「暮しの手帖とわたし」という本も読んだ。大橋さんの前向きで果敢な生き方を面白く読んだ覚えがある。この本が今回のドラマの下敷きになっているのかもしれない。
 「暮しの手帖」を過去形で語ることは、失礼だと思うが、私にとっては主婦としての歩みを支えてくれた懐かしい本である。


     お面屋の所在なさ気や花の雨