雲雀

 奈良の旅 その一
 古都が、修学旅行の喧騒に包まれる前にと、奈良に。今回はまだ行ったことのない所を回りたいと、まずは元興寺。前身が飛鳥寺と歴史は古いがいまは伽藍もなく、極楽堂・禅室を残すのみ。奈良時代のおおらかな建築様式で、とてもゆかしい。つぎは頭塔。町家の間にそびえるピラミッド。土を積んだ仏塔である。土で埋もれていたものを発掘、復元整備している。非常に珍しい遺跡だ。西の京に行く途中、大極殿が再建された平城京跡にも寄る。再建なった朱雀門から大極殿まで。いにしえの朱雀大路を歩くと空が広く、百官を従えた異国の大使の気分である。西の京では唐招提寺。ここはTが訪れたことがないというので寄ってみたが、いつ訪れても金堂が美しい。エンタシスの列柱が象徴的だが、大陸的な伸びやかさを感じる。金堂の御本尊は毘盧遮那仏坐像。堂々たる体躯の天平仏である。唐招提寺のあとは斑鳩の里。まずは法輪寺。昭和19年、落雷で焼失した塔を再建した昭和の三重塔がある。素晴らしいのは二体の飛鳥仏。止利派の仏師の作とされ、法隆寺釈迦三尊像に面影が似ている。斑鳩三塔のもう一つは法起寺の塔。我が国最古の三重塔。軽やかな明るさがあった。いずれも聖徳太子ゆかりの寺だと言う。


     天平朱雀大路や雲雀鳴く