震災の日に近い頃、NHKスペシャルでドキュメンタリー「原発メルトダウン危機の88時間」を見た。恐ろしい内容だった。あれほどのことがあったのになぜこの国は原発をやめられないのか。それは原子力村のせい。原子力村とは原発にからむ巨大な利権構造。当の電力会社ばかりか産業界・経済界・官僚・政治家・学者・メディアまでも含む複合体。それらが国民の原発ゼロの声を無視し、押しつぶし、原発維持・推進へと導いているのだという。福島第一原発の事故の費用負担11兆円も、電力料金への上乗せや税金での国民負担とは、なんと納得のいかぬ話ではないか。原子力発電は決してコストが安くない、核燃料サイクルの是非さえ曖昧、核のゴミの行く先は未解決。こんな現状の中で、目先の利権だけに群がる自己中心的な人間たちに強い憤りを感じる。
あとがきに「原子力村は実は追い詰められているのだ」とあったが、本当にそうだろうか。深い絶望的な気持ちでこの本を読み終えた。
春愁やきれいにむけぬ茹で卵
日本はなぜ脱原発できないのか: 「原子力村」という利権 (平凡社新書)
- 作者: 小森敦司
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2016/02/17
- メディア: 新書
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