「植物は<知性>をもっている」この衝撃的な結論に至るまで、筆者は一歩ずつステップを踏んで説得する。
まず、植物に五感はあるか。答えはyes。光に向かう屈光性(視覚)触れれば閉じるオジギソウ(触覚)香りで惹きつける花ばな(臭覚)好みの化学物質を取り入れる根(味覚)音楽を聞かすと成長が促進するブドウ(聴覚)等々。驚いたことには植物はさらに人間が持っていない感覚を15以上は持っているという。
次は人間のように言葉を持つか。これもyes。マメ科植物と窒素固定細菌との共生、様々な植物と昆虫・鳥・人間との共生。花や果実は植物のメッセージをつたえる言葉に違いない。
このように植物には知性(問題を解決する能力)があると筆者は結論づける。そして、人間はこの植物を不当に扱ってきたと批判する。植物の知性の研究はいつか人間と異なった知性の仕組みを持つ地球外生命と出会う時役にたつというのだ。
植物の脳ともいうデータ処理センター(根端)から引っこ抜くことをしてきた身としては複雑な気持ちだ。だからといって、除草をやめれば、ますます我が家はお化け屋敷になってしまう。科学本はあまり読まないがこの本は無類に面白かった。
雌鳥のかき回している春の土
植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム
- 作者: ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ,マイケル・ポーラン,久保耕司
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 単行本
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