雛飾る

 離れて産まれた子がまたもや女子で、母は父の気持ちをおもんばかって嘆いたという。父は男でも女でも無事ならそれでいいと言ったとは姉の話。さて内心はどうだったのか。亡き姉と次姉とわたし。三姉妹のわりには華やかなものは何も残ってはいない。田舎の慎ましい暮らしだったし、姉達の青春は戦争とも重なった。それでも母の箪笥の底に残された姉達の帯や着物。そのままでは塵にするしかないと、少しずつ作り変えている。帯はいくつかバックにしてみた。案外気にいっているのだが、もたない。すでに経年劣化している糸だけに少しの摩擦で切れたり、毛羽だったりする。残念だが日の目を見せてやっただけでもいいかと思う。

     雛飾るみんな父似の三姉妹