着ぶくれ

気が乗らない 図書館から何冊か借りてきた。谷川さんとか井上荒野さんとか、読み始めるが、ちっとも面白くない。読み散らしているうちに、何で読んでいるのだろうと嫌になって放り出してしまう。 Tの本棚から古井由吉自選短編集を出してくる。辛うじて「秋の…

松の内

『桃太郎のユーウツ』 玄侑 宗久著 Tに借りて久しぶりの小説読みである。表題作を含めて6編の作品集。玄侑さんに似合わずなかなか毒のある作品集だ。少しまえに読みかけたエッセイ集『禅のアンサンブル』で、「我が身の経営にとって最も重要なのは自分の機…

三日

元旦のなゐまだ止まずはや三日 新年の挨拶も憚られる思いもかけぬ年初めとなりました。被災された方々のことを思うと正月行事も憚られるのですが、昨日は恒例の娘一家との新年会と初詣。今年は孫の就職活動と大学受験ですので、神頼みをしてきました。 写真…

去年今年

『老年の読書』 前田 速夫著 世界各地で争いは続き、いつの間にやら武器輸出、今や戦争は他人事ではなくなりつつあり。一方、この国の相対的地位はあらゆる面で落ち続け、かつての勢いはどこにもない。それでいて、政治は相も変わらず、裏金やら買収やら、日…

年の瀬

今年の三冊 だんだん衰えてきたのか、興味が持てなくて本が読めない。今年は何時もの三分のニほどだ。こんなことで「今年の三冊」もないもんだが、自分の記録として書いておこうと思う。以下三冊。 世界は五反田から始まった 星野博美 縄文文化と日本人 佐々…

柚子湯

『裏日本的 くらい つらい おもい みたい』 正津 勉著 今朝ー0・7度、この冬一番の冷え込み。奥美濃の積雪は40センチと昨夜のニュース。 奥美濃と隣り合った筆者の産土(福井県大野市)も、多分どっしりとした雪ならん。 「ここがいがいに大陸に近くあっ…

風花

『日本人の源流』 齋藤 成也著 NHKBSで「日本人とは何者なのか」という番組を観た。DNA解析を通じて、日本人のルーツに迫ろうという内容で、とても面白かった。 最初に日本列島に棲み着いた縄文人と稲作文化を伝えた弥生人が混血して現日本人の元になったこ…

枯葉

『またたび』 伊藤 比呂美著 三日ほど前から右側の肩甲骨の下辺りが痛くて、鎮痛剤のお世話になっていたが、どうやら回復。今日は陽気も暖かいからと(異様といっていいほどの暖かさ)窓拭きに奮闘する。下の部屋部屋の窓は、どうにか拭き上げたが、二階は知…

時雨

『入り江の幻影』 辺見 庸著 旧友に薦められて読んだ。エッセイとフィクション、重い内容だ。 去年、タモリさんが「2023年を新しい戦前」と捉えたという話を聞いた時、さすがタモリさんだと感心もし納得もした。著者はそれに触れて、今の覚束ない時代を…

冬ざるる

『グレイラットの殺人』 M・W・クレイヴン著 東野さやか訳 新聞の文庫本案内で見つけて読み始めたのはいいが、709ページもあり随分時間がかかってしまった。つまり夢中になるほど面白かったわけではない。 要は復讐譚である。犯罪現場に「グレイラット」…

毛糸編む

ベストを編む 去年、身頃を編み上げておいたものの仕上げをする。 もともとカーデガンを編んだのだが、太い毛糸のせいか重くて気に入らなかったので、思い切って編み直したのだ。同じパターンで二着ほど編んでおり、難しい編み方のものではない。チュニック…

木守柿

厨仕事と映画『ぼけますから、よろしくお願いします〜おかえりお母さん〜』 常備菜用に「花豆」を炊き、新生姜でジンジャーシロップを作る。 「花豆」は初夏に信州に出かけた時、八ヶ岳麓の富士見町の道の駅で求めたものだ。水に浸したらびっくりするほど膨…

紅葉

滋賀 永源寺に紅葉狩 今年の紅葉狩はどこにするかという話になり、半世紀も前に職場の親睦会で訪れた「永源寺の紅葉」を思い出す。 最近行き慣れた隣県でもあり、朝から洗濯二杯をして、その後の出発となる。 「永源寺」は臨済宗永源寺派の本山、愛知川の上…

黄落

『ヤマトコトバの考古学』木村 紀子著 その1 「ヤマトコトバ」とは「大和政権を担った人々の言葉」。万葉集や風土記、記紀などに残った古来の和語と筆者は定義する。いくつかの言語圏との出会いと交わりがあって混成融合したものだという。 今も使う言葉の…

七五三

映画『魂のまなざし』を観る 2020年フィンランド映画。フィンランドの国民的女性画家(らしい)ヘレン・シャルフベックの伝記映画。 老齢で頑迷な母親と暮らしながら孤独に独自な創作活動を続けていたヘレン。ある日画商が訪ねてきて、彼女の絵の魅力が発…

小六月

講演『美濃の終末期古墳と群集墓を考える』 中村正幸講師 いつもの市の埋蔵文化財センター主催の講演会である。今回も古墳についてとあって、トシヨリ二人はネット予約をして、出かける。 「古墳とは何か」という定義から始まって、「横穴式石室」、「群集墳…

鹿威し(ししおどし)

南濃までちょっと 海津市の「アクアワールド水郷パークセンター」のバフウカエデの紅葉が見頃との新聞記事を見て、またまた出かけることに。(遊びに行くのはすぐにまとまる)県内だが南濃なので、高速を使っても一時間はかかる。 アクアワールド水郷パーク…

冬に入る

『さみしいネコ』 早川 良一郎著 池内紀さんの編集による「大人の本棚」の一冊である。能文家の池内さんの折り紙付きだけに、気持ちのいい文章だ。洒脱で軽妙、ユーモアがありしゃれている。 池内さんの「解説」によれば「五十歳を過ぎて文筆に目覚めた人」…

文化の日

映画を二本観る 『キネマの天地』 どちらも女性が主人公だが、時代も映画手法も大きく違うし、鑑賞した手段も違う。しかしどちらも楽しめて★4つといったところか。 『キネマの天地』は昨日、BS映画で放映したもので、ご覧になった方も多いにちがいない。1…

秋深し

吉野・飛鳥・奈良紀行 2 キトラ古墳壁画公開の見学 旅の前、ネットを渉猟していて「壁画公開」を知る。早速申し込み、旅の日程に加えた。 キトラ古墳「四神の館」 「キトラ古墳」は「高松塚古墳」に続いて発見された7世紀末の壁画古墳である。艶やかな人物…

秋澄む

吉野・飛鳥・奈良紀行 1 金峯山寺御開帳 吉野の金峯山寺の本尊蔵王権現三体を拝観したいというのが、長い間思っていたことである。二十三年前の秋にお参りした時は、秘仏のご本尊にお目見えすることは出来なかったが、今回は国宝仁王門の修理に伴い特別公開…

稲の秋

映画『あなたへ』を観る 高倉健さん最後の映画を観る。お馴染みの降旗康男監督作品(2012年製作)。晩婚で、最愛の妻を亡くした男が、妻の遺言を守ろうと、妻の故郷(長崎県平戸)へ旅をする話だ。旅の途中でさまざまな出会いがある。山頭火の句集をくれ…

秋の暮

『街道をゆく 耽羅紀行』 司馬 遼太郎著 耽羅とは、済州島の古名である。済州島について読んでみたいと思ったのは、先に朴沙羅さんの『家の歴史を書く』を読んだからである。そこでいくらか知ったが、済州島の歴史や風土に興味ができたからだ。しかし、司馬…

夜長

『殺しへのライン』 アンソニー・ホロヴィッツ著 山田 蘭訳 難しい本はちょっと置いておいて、久しぶりにミステリーである。こういう本は同じ500ページでも難なく読める。 今まで読んだ(ホーソーン&ホロヴィッツシリーズ)の一冊である。ホロヴィッツの…

露の世

滋賀 竹生島へ 秀吉の城は、今の大阪城の地下七メートルに埋もれているのだという。華美を誇ったその城はどんなものだったのか。竹生島に行こうと思ったのは、そこにかの城の遺構が現存するという興味からだ。 竹生島は琵琶湖のまっただ中に浮かぶ小島で、船…

秋の風

『クワトロ・ラガッツィ 上』 若桑 みどり著 天正少年使節と世界帝国 宣教師が訪れた十六世紀半ばの日本は、戦国時代のまっただ中であった。切腹やら首切りなど血なまぐさい混乱した世情で、民は貧しかった。これをどうしようもない野蛮な民族とみた宣教師も…

鵙猛る

妄信と言うけれど・・・正露丸とれんこん ひと月ほど前、何年ぶりかに天上裏でネズ公が走った。嫌だなあ、どうするかなあ、そのために猫さんを飼うわけにいかないし。ネットでどうするか検索する。殺鼠剤か業者に頼むかどれも敷居が高い。そんな中で「正露丸…

けふの月

久しぶりの猫ちゃん 夕方散歩に出かけ、久しぶりに猫ちゃんに出会う。外猫には厳しくなったせいかまったくお目にかからなかった。もっともあまりの暑さに私も猫も外歩きをしなかったせいもあるかもしれない。 今年は例年になくきれいにみられた中秋の名月。…

今年米

『古文書返却の旅』 網野 善彦著 Tの大量の書籍を渉猟しても、なかなか読みたい本が見つからない。何か面白いのない?と聞いても、そんなものはありませんとにべもない。そんなこんなで見つけた一冊、思いの外面白かった。 終戦直後の1949年、国民の大半…

大根蒔く

映画『プラン75』を観る 昨年の話題の社会派映画である。カンヌ映画祭でも評価されてカメラドールの次点に選ばれたらしい。(もっともこれがどういう賞なのかは知らない) 高齢化社会に悩む将来の日本が舞台。75歳になったら生死が自由に選べる制度がで…