読書

梅雨

「蒲生邸事件」 宮部 みゆき著 面白かったと人にも薦めてきたのが、この人の「火車」。「理由」と「模倣犯」も読んだがSF風仕立てのこの本にはなんとなく触手が動かなかった。以前読んだ本で、関川さんと鶴見さんが高評価されていたので読んでみようと思った…

梔子(くちなし)

「北政所」 津田 三郎著 基本的にフィクションよりこういう歴史ものが好きだとつくづく思う。副題に「秀吉歿後の波瀾の半生」とある。慶長三年秀吉が63歳で死んだ時、北政所は51歳。寛永元年77歳で亡くなるまでの26年間、豊国神社の別当「梵舜」の日…

夏至

「言の葉さやげ」 茨木のり子著 言葉について書かれた一冊。不覚にも今まで「茨木のり子」という人がこれ程の人とは知らなかった。凛とした姿勢に貫かれた、鋭利な刃物のような一冊。私たちは「ありあわせの、間にあわせの、思考と言語で話しすぎる。自分の…

夏燕

「天災から日本史を読みなおす」 磯田 道史著 読ませられるものがあって、一気に読んだ。副題に「先人に学ぶ防災」とあり、歴史上の災害記録の解読を通して防災意識を育もうという内容。朝日新聞のbeに連載されたものに加筆して書籍化したものとあるが、まと…

夕焼け

図書館から予約本の「受け取り可」のメールが入る。本の著者は茨木のり子。詩集をTが持っているというので借りて読む。知っているのもあれば知らないのも。知らないほうが圧倒的に多い。力強いはきはきとした修辞。小気味のいい読後感。こんな調子で昨夜の愚…

くちなし

「雑兵たちの戦場」 藤木 久志著 毎日のようにメディアの伝える戦争の世界。ことに中東やアフリカの人々が戦禍に翻弄される有様。難民となり劣悪な環境でやせ衰えた子供たちの虚ろなまなこ。対岸の火事をみるようなわれわれ日本人大衆にとって、それは決して…

新樹

「土を喰う日々」 水上 勉著 例のつばた夫妻が愛読書と書かれていたのに惹かれて読むことに。「わが精進十二ヶ月」の副題のとおり一年にわたる精進料理の紹介。それも水上さん自身の手料理と美味そうな写真付き。氏は九歳の頃から禅寺に小僧として入られ、手…

紫陽花

「先生! どうやって死んだらいいですか?」 山折哲雄 伊藤比呂美著 表題倒れである。それほど過激なことは何も書かれてない。「性・老・病・死」について一般人からの質問を前提に、お二人があれこれ話し合ったり山折先生が答えたりという内容。「生」が「…

明易し

「火山で読み解く古事記の謎」 蒲池 明弘著 時々コメントをくださるこはるさんがブログで紹介されていた本である。書名のおもしろさに惹かれて読み始めた。古事記というこの国の創世物語に火山のイメージを重ねた話である。例えばスサノオやイザナミは火山の…

かたつむり

「長い時間をかけた人間の経験」 林 京子著 晩年の作品である。被爆の死神にようやく「走り勝った」と思った筆者は、いつのまにか目の前に迫った老醜のもうひとつの死に気づく。二つの死に向き合いながら、連絡を絶った病床の友を思い札所巡りを始める。炎昼…

鴨足草(ゆきのした)

「風山房風呂焚き唄」 山田 風太郎著 図書館新刊コーナーで借りる。著者については「人間臨終図巻」を関川さんが取り上げておられたから気にはなっていたが読んだことはなし。忍法帖ばかりがイメージとしてある。これは旅・食・読書などの未刊行エッセイ集。…

アマリリス

「ふたりからひとり」 つばた英子 つばたしゅういち著 先に読んだ「あしたもこはるびより」から五年後のお話である。題名からも察せられるとおりしゅういちさんは亡くなり、ひとりになられた英子さんの話。人の死に僥倖などということはありえないが誤解を恐…

柿若葉

「継体天皇と今城塚古墳」 高槻市教育委員会編 この前の旅のおさらいでH殿が借りてきた一冊。発掘に伴って地元で開催されたシンポジウムをまとめたものである。発掘調査半ばのものでありこの時点で語られていない調査結果もある。それでもなかなか面白かった…

伽羅蕗

「ぼくの東京全集」 小沢信男著 Tから回してもらった一冊。太くてまだ半分しか読んでいない。内容の面白さとちくま文庫の読み易い活字で、じっくりと読んでいる。わけても最初の章「焼跡の街」。あの3・10の大空襲の二日後、焼け跡を見に行った話。焼死体…

朴の花

「使用人たちが見たホワイトハウス」ケイト・アンダーセン・ブラウワー 第35代大統領ジョン・F/ケネディー一家から第44代バフラ・オバマ大統領一家までのホワイトハウスでの暮らしを裏側から支えた使用人たちの話。それも主にアフリカ系アメリカ人の執事…

「あたらしい憲法のはなし」 憲法記念日にちなんで「あたらしい憲法のはなし」と「憲法前文」を読んだ。前者は1947年の文部省発行の中1社会科の教科書。朝鮮半島の不穏な情勢により、すでに1952年に発行されなくなったというから束の間の存在であっ…

落椿

「切腹考」 伊藤 比呂美著 以前Tが伊藤比呂美さんのことを好意的に「あの人は野蛮人やな」といった時、いまいち納得できなかったのだが、「はあ、こういうことか」と了解した本。先ごろの朝日新聞のインタビューで今までも「自らを作品に投じてきたが、今回…

春の昼

「ひとり暮らし」 谷川 俊太郎著 ちょっと体調を崩して医者通い。待合室で読むのには軽いものをとTの本棚から持ちだした一冊。計算すると谷川さんがこちらの年齢ぐらいの時の本で、ちょっと前のもの。この頃エッセイなどを読むと、つい執筆中の筆者の年齢を…

花は葉に

「東京骨灰紀行」 小沢 信男著 大東京の地下に眠る数多の死者達の話である。東京は大都市なのに江戸の昔から何度も大災害に出会ってきた街。江戸の大火、二回の大地震、大空襲それに加えて上野の戊辰戦争、小塚原での刑死等々骨の上に骨を重ねて今の暮らしが…

子猫

「死を想う」 石牟礼道子 伊藤比呂美著 親の介護中だった伊藤さん、「死」というものについて考え始めた。死とはどういうものか。「あけすけに聞けないし、聞いてもあけすけに答えられない」だろうと、ここは親しい先輩の石牟礼さんを相手に頼んだ対談。伊藤…

花の雨

「漂うままに島に着き」 内澤旬子著 題名の示すように東京から地方への移住記である。この人の本は二冊目。(「捨てる女」を読んだ気がある)田舎生まれでずっと田舎暮らしの私が読んでどうするという気がしないでもないが、それなりに面白かった。都会的で…

春炬燵

「あしたもこはるびより。」 つばた英子・つばたしゅういち著 お二人のドキュメンタリー「人生フルーツ」の評判を新聞で知る。残念ながらまだ見ていないのだが、本があると知って借りてくる。既刊が四冊あったのだが予約が詰まっていて取り敢えず一冊目。評…

「私はどうも死ぬ気がしない」 金子 兜太著 超人的に元気な兜太氏の独白である。出版当時が95歳とあるからいまは97歳か。従軍体験のある氏は戦死者への思いを胸にいだいて戦後を出発。俳句と仕事を両立、反骨的生き方を貫く。この本では氏の人生の節目節…

連翹(れんぎょう)

「俳句の海に潜る」 中沢新一・小澤實著 時々コメントを書き込んでくださるこはるさんのお薦めの本。中沢さん好きのTが買ったというので回してもらった。所々中沢さん流の思考についていけないところもかなりあったが「俳句とアニミズムは根源的なところで繋…

初蝶

花粉による目の痒みが酷い。点眼薬も飲み薬も使っているのだが。林京子さんの「祭りの場 ギヤマンビードロ」を読んでいる。林さんの逝去を新聞で知り、図書館で借りてきた。ご自身の原爆体験を書いてきた人だということは知っていたし、昔読んだような気がす…

春の塵

「ジニのパズル」 崔 実(チェシル)著 去年の話題の本である。なかなか面白くて一気に読んだ。感受性の強い思春期の少女の成長物語だが、彼女が北鮮系在日コリアンだということが話を複雑にしている。この国に生まれてこの国の言葉を使いこの国で生きていか…

桜貝

「今に生きる親鸞」 吉本 隆明著 一昨日の午後から、緩んだ身心を縮み上がらせる寒さ。雪も舞い、薄っすらと積雪も。 またも「親鸞」について考えている。昔読んだことがある本だが、吉本さんがどう言っていたのか気になって再読した。一貫して語り言葉で書…

地虫出づ

「法然親鸞一遍」 釈 徹宗著 「浄土真宗は何か」に続き浄土仏教について。たまたまTの本棚にあったので引きずり出してきただけで、特別に宗教的悩みがあるわけではない。三人の浄土仏教宗教者を比較、三者の相違を考察したものだが、読み易そうというだけで…

春の風

気温がふた桁になり、Jリーグも始まり、オープン戦の話題も散見されいよいよ春本番の気分。ちょっとした気温の差でこんなに気分がちがうとは、つくづく修行が足りないと思う。もっともそんなのは私だけではないらしく、図書館に出かけたら公園にはかなりの人…

春うれひ

「田舎の日曜日」 佐々木幹郎著 この人の本は三冊目である。同年代でもあり詩人としての名前は知っていたけれど、知っているというだけだった。新聞で「雨過ぎて雲破れるところ」を知り、その後「パステルナークの白い家」を読んだ。 この本は「雨過ぎて・・…