読書

日短

『それゆけ、ジーヴス』 P・G・ウッドハウス著 森村たまき訳 皇后さまがお誕生日会見で触れられていたので、興味を覚えて借りてきた。まだ読了してはいないが読み通せるか自信がない。つまり内容はユーモア小説ともいうようなもので、あまり趣味ではないから…

聖樹

『83 1/4歳の素晴らしき日々』 ヘンドリック・フルーン著 ヘンドリックの残りの一年間を追体験した。オマニドクラブを立ち上げたヘンドリックたちは半月に一度のエクスカーションを企画し、映画会や動物園訪問・料理や絵画のワークショップなど楽しい時間…

寒波来る

83 1/4歳の素晴らしき日々 ヘンドリック・フルーン著 長山さき訳 帯状疱疹で額から瞼が腫れ上がりまるでお岩さん。片目が十分機能しなくて不便極まりない。それよりも痛みが酷いので「老人には強すぎるが」と、もう少し強い痛み止めを出してもらう。ところ…

『俳句の授業』 夏井 いつき著 「プレバト」なる番組を見たことがない。夏井さん自身についてもご本人も俳句もよく知らなかった。最近あちこちで名前を見るようになり元気のいい方だなあという印象があった。たまたま図書館でこの本を見つけて借りてきたのだ…

吊し柿

『砂の街路図』 佐々木 譲著 先々週ぐらいの新聞の読書欄に紹介されていたので読んだ。こういう作品はどの分野に入るのかわからないがミステリー要素のあるエンタテイメントといったらいいだろうか。帯には「家族ミステリー」とある。 突然行方を絶った父親…

山眠る

『狂うひと』 「死の棘」の妻・島尾ミホ 梯 久美子著 その2 やっと読了。大変な力作である。執筆に際しての当人へのインタビューは初期の段階で拒否されたということで膨大な資料を読み込んでの人物造形である。長大な内容にもかかわらず最後まで惹きつけら…

『狂うひと』「死の棘」の妻・島尾ミホ 梯 久美子著 その1 600ページ強の大作でなかなか読み終えられない。運命の日が来て夫婦の対決が激化し、とうとうミホさんが精神病棟に入院するくだりまでは読んだ。 ここまでで考えさせられるのは「文学と人間性」…

大根

『たそがれてゆく子さん』 伊藤 比呂美著 いや、面白かった。何が面白かったと言えば老いていく身への共感ということだろうか。もちろん彼女は一回り下の世代で、当方とは比べものにならぬほど自由で行動的に生きている人なのだが、人の(女)一生の普遍性み…

寒さ

『俳句入門』 小川 軽舟著 たまには刺激を受けないとどんどん俳句から遠ざかるばかりだと思って借りてきた。基本をわかりやすく解説した本で改めて勉強になった。要となるような部分は作句や推敲の視点としてノートに書き写しもした。 印象に残ったのは写生…

薯畑

『猫を抱いた父』 梯 久美子著 梯さんはノンフィクション作家としての仕事が著名であるが、この本はエッセイ集である。もちろん本業同様真摯な姿勢が感じられる作品集である。内容は家族のことや子供時代あるいは故郷での話、成人後東京に出てきてからの体験…

月夜

『木山捷平 井伏鱒二 弥次郎兵衛 ななかまど』 木山 捷平著 Tの本棚から抜き出してきた木山捷平短編集の二冊目である。十編が収められているがいずれも晩年の作品である。一番心に残ったのは「弁当」。一冊の追悼歌集が呼び覚ました若い頃の思い出である。追…

蜻蛉

『京都がなぜいちばんなのか』 島田 裕巳著 宗教学者」による京都観光案内である。よく知られた京都の観光名所の変遷や謎について紹介している。いずれも一度成らずも訪れたことのある場所であり、そこにそういう歴史が秘められていたのかと、まあまあ面白く…

秋ともし

『殺人者の顔』 ヘニング・マンケル著 柳沢由実子訳 四百ページを一気に二日間で読んだ。久しぶりのミステリーで、実に面白かった。ブログに時々コメントをお寄せくださるこはるさんのお薦めである。スエーデンの作家のミステリーでヴァランダー刑事シリーズ…

秋澄む

『あ・ぷろぽ』 山田 稔著 「あ・ぷろぽ」とはフランス語で「ところで」といった意味らしい。副題で「それはさておき」とあるからそれも同じような意味か、ともかくフランス語は全くわからない。(これでも大学時代は第二外国語でとったのに) さてこの本だ…

秋桜

『出石城崎』 木山 捷平著 山田稔さんの『あ・ぷろぽ』を読んでいたら名作再見なる話があって、結城信一の『黒い鳩』を取り上げておられた。その中で木山さんの『出石』についても触れられていて、ああこれはどこかにあったはずだとTの本棚から見つけてきて…

台風去る

『列島語り』 赤坂 憲雄・三浦 佑之著 お二人の対談集である。対談集に共通することだが筋道立って話が進むわけではなくまとまっているようでまとまりにくい。大まかに言えば共通する土俵は中央に対して辺境の視点からの問題意識であり、歴史学徒ではない立…

花茗荷

『ハレルヤ』 保坂 和志著 短編四編を収録。表題作の「ハレルヤ」と「こことよそ」を読了して後は投げ出す。ともかく私には合わない。愛猫の花ちゃんについて書かれた「ハレルヤ」はともかく「こことよそ」は閉口した。保坂節とも言うようだが冗長な長い一文…

名月

『語る兜太』 金子 兜太・黒田杏子聞き手 分厚い本である。独白部分は全編黒田さんが聞き手のようだが、聞き手を意識させないひとり語りの形式に徹している。 副題に「わが俳句人生」とあるようにその人生が産土の秩父の記憶から始まり、俳句を始めた学生時…

秋の蝶

『レシピを見ないで作れるようになりましょう』 有元 葉子著 新聞の広告によれば今話題の料理本らしい。すでに五十年以上も料理に携わっている身だが相変わらずレシピ本は頼りにしている。自己流で何となく物足りないという思いの時もある。おさらいのつもり…

敬老日

『小屋を燃す』 南木 佳士著 弱さを曝け出すようなこの人の自嘲的文体がきらいではない。いままでも主にエッセイだがかなり読んだ。今回はエッセイというよりは小説なのだろうが基本的に私小説だから話は筆者自身と深く結びついているはずだ。読み出したら今…

昼の虫

『鴎外の子供たち』 森 類著 森類氏は鴎外の末の子である。姉の杏奴さんの本を読んだ後、この本をTの本棚に見つけて読むことにした。書きだしにいきなり出版に絡む姉たちとの確執事情が語られていて、随分いわくつきの本であることを知った。姉たちが激怒し…

秋の声

『泣きかたをわすれていた』 落合 恵子著 落合さんの講演を聞いたことはあるがまとまった本を読むのは初めてである。だが彼女が同年の生まれであり、またその誕生に係る事情、彼女が長い間母親の介護をされていたこと、子どもの本屋さんの活動に力を入れてお…

『八十二歳のガールフレンド』 山田 稔著 県の図書館で見つけてきた少し古いが珠玉のような一冊。 抽斗の隅に見つけた古い便りや、心にひかかっていた一編の詩や、新聞の訃報欄から思い出の糸をたぐるように紡ぎだされるいくつかの話。思い出される人はどの…

木の実

『縄文人からの伝言』 岡村 道雄著 東京博物館での「縄文展」が見たい。大阪や京都ならいいが東京まではちょっとある。体力的にもまだ自信がもてない。そんなこんなでせめてテレビの関連番組を見たり、こういう本を読んだりというところである。 縄文時代は…

台風

『俳句、はじめました 吟行修業の巻』 岸本 葉子著 岸本さんの俳句本を読むのはこれが二冊目である。先に読んだ本に先行する一冊らしい。全編吟行での句作りの話。吟行は当方も苦手ゆえ、いい知恵でも授からないかと思って読む。苦労話がほとんどでこれとい…

花野

この二三日冷房のいらない日々が続いて気分はすっかり秋めいてきた。あれほど煩かったクマゼミたちが鳴りを潜めて昼間も虫の声しきり。キチキチキチとけたたましい鵙の鳴き声で昼寝の夢を破られて、「おや初鳴き?」と隣のH殿に声をかける。このまま秋に一直…

敗戦日

お盆でも病院の診察はいつもどおりということで先日の検査結果を聞きに行く。CTで見えるかぎりはきれいになくなっているということで、まずは悪い結果ではないと言われる。しかし、さらに詳細な検査をしないことには確かなことはわからないと、来週には内視…

八月

『流れる星は生きている』 藤原 てい著 毎年この時期は戦争文学を読むことにしている。このふやけきった時代に、せめてあの戦争の悲惨さを忘れないためと亡くなった人々を悼んでのつもりである。 今年はTの本棚にあったこの本にした。戦後の話題の本であった…

熱帯夜

『綾蝶の記』 石牟礼 道子著 逝去後のエッセイ集である。三部に分かれていて、変わらぬ水俣病に関しての発言や自分史についての講演・インタビューや対談・書評も含む。私なぞにはとても掴みきれぬ人であるが、石牟礼文学に脈打っているものは言葉以前への感…

炎昼

『ラブという薬』 いとうせいこう・星野概念著 トシヨリでスマホも持たない当方は、SNSの世界を渉猟するということはまずない。ところが今やや若い人にとってはSNSの世界は片時も切り離せぬものらしい。いとうさんによればスマホを瞬時でも忘れるというアプ…