浮いてこい

『新訳 説教節』 伊藤 比呂美著 説経節に惚れた惚れたという伊藤さんの熱意に煽られて、説経節とはいかなるものやと手にしたこの本。「小栗判官」も「しんとく丸」も、みめ麗しき貴公子や深窓の姫君が思わぬ不幸に陥いるが、神仏の助けでめでたしめでたしと…

夏至

『消えた国 追われた人々』 東プロシアの旅 池内 紀著 Tが読んでいて面白そうだったから回してもらった一冊。読み応えのある話だった。かって「東プロシア」という国があったということも、その国の消滅に際して多くの人々が難民となったことも、また難民を…

植田

弱った足腰を鍛えるべくとか思ったより回復してきた体重をこれ以上増やさないためとか色々思って冬の終わり頃から歩くようにしている。ひと月前にはぼんやり歩いていてもと万歩計を付けることにしたのだが、計ってみてがっかり。思ったほどに歩けていない。…

川とんぼ

『最後の読書』 津野 海太郎著 津野さんの生年は1938年とあるから当方とはたった7歳しか違わない。「老人、老人」と言われると現実なのだが他人事みたい。あとがきに 鶴見さんの「最後の読書」ーそれをみちびきの杖に、それにすがってあたりを慢歩する…

茂り

『龍太語る』 飯田 龍太・飯田 秀實監修 この本は龍太さんの晩年の聞き書きを纏めたもので生涯にわたる思い出話である。読んでいると龍太さんの人となりがわかってくる。華奢な体躯には似合わず豪胆で気骨があるとか、もちろんそれは『雲母』をスパッと終刊…

梅雨入り

『東海道ふたり旅』 池内 紀著 「ふたり旅」のお相手とはどうやら「広重」らしい。副題に「道の文化史」とある。広重の「東海道五十三次」を行きつ戻りつしながら、当時の風俗・経済・文化などなどを紹介。例により語り口は歯切れのよい池内調で、知らず知ら…

郭公

「古代への旅」と名打って信州諏訪に出かける。諏訪へは昔初めての家族旅行(娘もまだ一緒だった)で出かけたことがあるが、今回は風光より古代史が中心で節約旅である。 一日目 辰野美術館 中央道を走って3時間(途中で休む)。最初の目的地は辰野美術館で…

更衣

興味のない人にとっては何ということもないが、このところシャグジ神について思いを巡らしている身にとっては、ちょっとした歓びであった。興味の対象が繋がることを、中沢さんは、遠く離れた地点で地層の連続面を見出した歓びにたとえて「構造の歓び」と言…

五月尽

昨日から何度もモズ君が子ども連れで里帰りだ。連れている子モズは一羽だけだがおそらく一番の甘えん坊にちがいない。飛び慣れた梅の枝を枝移りしながらまだ羽をばたつかせて餌をねだっている。さすがに親モズも知らんぷりといった様子だったが見てないとこ…

みどり

『悲しみは憶良に聞け』 中西 進著 令和騒動に便乗して読んだわけではない。先に人麻呂論を読んでから憶良のことが気に掛かっていたからで、中西さんの本にしたのも読みやすそうだと思ったためで他意はない。長々と言い訳めいたことであるが年号が変わったと…

夏の川

『暮らしの断片』 金井美恵子=文 金井久美子=絵 「暮らしの断片」とあるだけに暮らしのなかのこだわりについてつづた文章である。そこは金井さんらしくあとがきで、最近の女性向きメディアで流行語になっている「ていねいな暮らし」つまりすてきな暮らしを…

雨蛙

『これで古典がよくわかる』 橋本 治著 どういうわけだか昨夜は眠気がなかなか訪れなくて、夜半すぎまでかかってこの本を読了してしまった。橋本さんの言葉によれば、古典に嫌気がさしているにちがいない受験生が対象ということで、誠にわかりやすい。いいお…

新茶

友達のIさんから久しぶりに連絡があった。今年も新茶ができたというのである。実はIさんのご主人は体調を崩されて1月以来入院。今年のお茶はとてもでないだろうと半ば諦めていた。それが例年よりは少ないができたというのである。何でも病室からご主人がお…

聖五月

降りそうで降らない。先週は珍しく体調を崩し発熱。ウオーキングもしなかったが少し気力も戻ってきたので曇天を幸いに歩く。用水の水はたばしっているがまだ田には入っていない。この辺りはいつも遅いのだ。 庭の花十指に余り聖五月 今日出会った子。野良の…

明易し

鵙の雛たちがいなくなってから庭が静かで寂しい。巣立ちをしてからちょうど二週間だったなあとぼんやり思いながら草を抜いていたら、目の前の柿の枝にぴゅーと一羽の鵙。「おや、鵙くん」と思ったらもう一羽ぴゅーと。尾羽の短い子鵙である。まるで「こんな…

山藤

『三つ編み』 レティシア・コロンバニ著 斉藤可津子訳 国も境遇も全く違う三人の女性の話を「三つ編み」のようにあざなった物語。キイワードは髪と自立。歯切れのよい畳み掛けるような文体と素早い展開で一気に読ませる。帯によればフランスで85万部突破3…

薔薇

『百人一首がよくわかる』 橋本 治著 いつも拝見しているブログで新潮社「Webでも考える人」というサイトを教えていただき、そこで津野梅太郎さんの橋本治さん追悼文を読んだ。津野さんは内田樹さんの言葉を引いて そのつど「説得でも教化でも啓蒙でもない」…

はつ夏

鵙の雛は元気だ。午前中、ぱたりと声がしなくなったのでとうとう独り立ちをしたのかとちょっと寂しく感じたのだが、お隣の庭にいたようだ。午後はまた我が家の木で餌をねだっていたが、突然方向も考えずに飛んで雨戸に衝突するハプニングも。脳しんとうでも…

柿若葉

鵙の雛たちが巣立ちして八日目、過眼線も目立ってきてこんなに大きくなった。三羽とも元気であちらこちらと枝移りも軽やかだ。まだ親鳥に餌をねだっているが時々地上にも飛び降りたりしてるから餌取りのまねごとかもしれない。この間親鳥は本当に一所懸命に…

椎の花

『モンテレッジオ小さな村の旅する本屋の物語』 内田 洋子著 きっかけは「ヴェネツィアの水先案内人であり知恵袋である」老舗の古本屋の始まりが、山岳地帯の辺鄙な土地モンテレッジオ出身の本の行商人と知ったことだ。「本の行商人とは」彼女の興味はそこか…

夏来る

十連休も終わった。毎日が日曜日の我が家には関係ないと思っていたが、後半は娘一家の訪問やら今日の「落語会」など非日常的なお楽しみもいくつか。 今日の落語会はたまたま新聞販売店の案内で申し込んだもので「東西落語名人会」と名打った企画である。桂文…

巣立ち

朝からカチカチと鵙が大鳴きしっぱなしだと思ったら雛が巣立ちをしたようだ。だから親がしきりに警戒をしているらしい。親の鳴き声の合間に「ジャジャ」と雛らしい声がするので目を凝らしていて南天の間に一匹見つけた。見ているとしきりに餌を運んでくる。…

鵙の巣

「爺さんと鵙」のお話は前にも触れたことがあると思う。H殿が野良仕事を始めると決まってやってくる鵙がいるという話である。すぐそばて掘り起こされる虫を待っているのだと思うが、だんだん慣れてきてほんとうにすぐそばに付いているので、我が家ではかって…

春逝く

『山海記』 佐伯 一麦著 大和八木から和歌山の新宮まで日本一長い路線バスのことは本で読んだり映像で見たりしたことがある。筆者とおぼしき彼は東北大震災の後、同じ年に大水害にあった紀伊半島を訪ねるべくこのバスに乗った。小雪も舞う狭隘な山道をバスに…

れんげ

連休中といっても毎日が日曜日の我が家は何も変わらず。やや肌寒いので外仕事もあまりする気なく午後は読書と散歩。 このところ読み継いでいるのは佐伯一麦さんの『山海記』。お名前をかずみと読むのだと初めて知った。因みに題名も「せんがいき」である。な…

行く春

『アイヌ歳時記』 萱野 茂著 再びこの本について。読みながらアイヌの人と縄文人の関係に思いを馳せる。同じように狩猟採集民でありアミニズムの人々であり、かっての東北地方では隣り合って暮らした人々であっただろう。最近の遺伝子調査では「アイヌ人は現…

牡丹

久しぶりの雨なのだが牡丹にとってはあいにくの雨。朱紫が六花、薄紅が一花咲いて雨に打たれてすっかりしおたれている。今日咲いた薄紅はさすがに哀れで切ってきたが、朱紫はこれでお終いだろう。 終日の降りなので縫い物をして過ごした。昔、姉が買い溜めて…

春霞

『アイヌ歳時記』 二風谷のくらしと心 萱野茂著 どういうわけだかこんなことは滅多にないのに昨夜はとんと寝つけなかった。蒲団の中でもんもんとして夜半を過ぎ、とうとう起き出してこの本を読み始めた。 ちょうど昨日の新聞に「アイヌ新法 成立」とあったか…

春深し

『カササギ殺人事件 上』 アンソニ・ホロヴィッツ著 山田 蘭訳 新聞の読書欄で知って図書館から借りた。上と下の二巻なのでとりあえず上巻を予約して借りたのだが読み終わっても下巻がすぐに読めないところが残念。まだ予約者五人待ちである。事件が起きて取…

たんぽぽ

『AIvs.教科書が読めない子どもたち』 新井 紀子著 「シンギュラリティー」という言葉を初めて知った。「人工知能(AI)が人間を超えるまで技術が進むタイミング」をいうそうだ。まず著者は「シンギュラリティーは到来しません。」所詮AIは意味がわかって…