秋の雨

季節が半月ほどずれているような気がする。例年なら「天高し」の頃だと思うのに連日の雨。小寒いのも相まって気持ちが晴れない。それでも昨日は降り込められたのを逆手に終日縫い物。ひさしぶりに夢中になった。なんて言うことはない「袋物づくり」。材料は…

石叩

今朝の新聞である。「俳句不掲載 市に賠償命令」との記事。なんでも9条デモが題材になった俳句が「公民館だより」への掲載を拒否されたのが発端らしい。拒否の理由が「公民館が公平中立の立場であるべき観点から好ましくない」というのだが、問題の俳句がど…

村芝居

「新釈 遠野物語」 井上ひさし著 その前読んだ「東北ルネッサンス」の中で赤坂さんがこの本に触れて、柳田さんの「遠野物語」とくらべて「語りということを非常に意識されていた」などと書いておられたので、てっきり東北弁の語り本と勘違いしていた。まあ東…

秋澄む

県の博物館で開催中の特別展「壬申の乱ー美濃国・飛騨国の誕生に迫る」に出かける。壬申の乱で大海人皇子側の兵士供給を担ったのは美濃であった。つまり、我が地の古代豪族村国氏や隣の武義郡の豪族牟儀氏(むげつし)が活躍をしたのであるが、この牟儀氏の…

金木犀

「五重塔」 幸田露伴著 いやはや凄い話だった。こういう文体を「求心的文体」というらしいのだが、畳み掛けるような調子に息もつかず一気に読んだ。ことに完成なった塔を揺さぶる大嵐のこれでもかこれでもかという描写、吹きすさぶ暴風雨が目に見え耳に聞こ…

「にんげん住所録」 高峰 秀子著 二十四節気の「寒露」。露がしみじみと冷たく感じられる頃である。今日は晴れて気温も上がるとの予報だが、このところの朝晩の冷え込みには、一段と秋の深まりを感じさせる。 図書館で何気なく借りてきた一冊。彼女とは世代…

「東北ルネサンス」 赤坂 憲雄著 まだ東北にこだわっている。Tの書棚にあった赤坂さんの対談集。東北にこだわった七つの対話記録、どの対話も熱い東北讃歌である。かの地においては三内丸山遺跡の発掘がもたらした影響は多きかったようだ。中央以前に優れた…

今宵、中秋の名月。旧暦八月十五日の月である。真円のお月さまではない。月の運行と暦にズレがあるのは知っていたのだが、十五夜が必ずしも月齢と一致するものではないということはあまり気にも留めていなかった。。ちなみに今日の月齢は13・9。暦によれ…

吾亦紅

「街道をゆく 9」 司馬 遼太郎著 また、司馬さんを読んでいる。先週・先々週と三週ばかりNHKの「ブラタモリ」の高野山を見たので、司馬さんの「高野山みち」を再読。これは朝日文庫の「街道をゆく」の9に入っている比較的短い話。改めて読んで興味を引いた…

鳥渡る

「北のまほろば」 司馬 遼太郎著 先日の赤坂さんの本に刺激され、再読。久しぶりに司馬さんのたかだかした文体に接して快かった。それは、まさに司馬さん流の喩えをつかえば、秋空に浮かぶ白雲のような快さである。 「北のまほろば」は全編青森県紀行。津軽…

秋晴

「犬心」 伊藤 比呂美著 帯紙に「これはいのちのものがたり」とある。タケというシェパード犬の老いて死ぬ話である。タケは「散歩と食べ物には人間離れした熱意をもっているだけで、あとは、人と暮らすのとあんまりかわらない。」という伊藤さんの愛犬。十三…

木の実

「司馬遼太郎東北をゆく」 赤坂憲雄著 面白かったからとTから回ってきた一冊。確かに面白く、久しく忘れていた司馬さんの快い語り口も思い出す。赤坂さんは東北地方をフィールドに活動中の民俗学者。東北大地震を経ても、西の人びとにとっては東北はやはり遥…

彼岸花

良くない時には良くないことがかさなりがち。Tに言わせれば「デフレスパイラル」である。玄関の僅かな段差に引っかかて派手に転んでしまった。蛙のようにぺっちゃんこになって膝と肩を打った。膝は軽い打ちみだが、無理に開いた肩が思わしくない。動かないこ…

秋光

「芭蕉庵桃青」 中山義秀著 なかなか読み応えのある一冊だった。時に翁の行脚に付き合い時に翁の孤愁に寄り添い、一句一句を読み継ぎようやく読み終わった次第。裏表紙に「義秀文学畢生の力作」と紹介されていたが織り込まれた発句や連句の数多さからも、芭…

敬老の日

今日は「敬老の日」とかや。トシヨリの一人として敬われてもねぇという思い。歳相応に立派な方もおられるのだろうが、こちらは馬齢を重ねたというだけで敬われるような価値はない。何かに池内紀さんが「歳をとり、経験を重ねると利口になると思っていたが、…

秋の虹

またまた「アライグマ」が出た。二、三年前に天井裏に入り込まれて閉口したことがあったのが、入り口を塞いだり仕掛け罠を設置(行政から借りた)したりと対策功を奏して、このところは音沙汰がなかったのにである。今朝まだ薄暗い時間に(トシヨリは早起き…

秋空

今朝の新聞で岡崎の「瀧山寺」の「聖観音菩薩立像」が初めて寺外で公開されるとあった。当方が7月25日に触れた運慶仏である。東博での「運慶」展でということで、様々な修復を施しての公開らしい。宝物殿では梵天、帝釈天とご一緒だが、展示は聖観音菩薩…

爽やか

久しぶりに出かけた。碧南市藤井達吉現代美術館での絵画展「リアルのゆくえ」を見るためである。半年ほど前、テレビの「美の巨人たち」で犬塚勉さんの存在を知った。写真と見まごうばかりのリアルさ、否写真以上の大気感に溢れた初夏の高原の風景に圧倒され…

登高

「あしながおじさん」 ウェブスター著 何で今さらこの本?ということだが、この前読んだ佐野洋子さんの本のせいだ。佐野さんが何十年ぶりかに読んで、泣けた泣けたと書いていたのでこちらも懐かしくなった。「赤毛のアン」も「若草物語」も書棚の奥で埃にま…

秋の声

このところ、このブログを通じてお知り合いになった人がたてつづけに二人、ブログを休止された。体調不良やらご家庭の事情やらと、のっぴき成らぬ理由である。こちらもこの半年、調子の悪さを抱えながら、お仲間のコメントに励まされ何とか続けてきたことを…

「へんな子じゃないもん」 ノーマ・フィールド著 先に読んだ本(「天皇の逝く国で」)と対照的に家族を軸に個人的な感慨をまとめた一冊である。ほぼ同時代に書かれたというのが共通点か。ノーマさんは日本人の母親とアメリカ人の父親との間に生を受け、当時…

「ふつうがえらい」 佐野 洋子著 Tが本棚の整理を始めた。佐野さんの本を二冊持ってきて、処分しようと思うけれどいいかと聞いてきた。当方が佐野さん好きなのをおもんばかってのこと。「がんばりません」と「ふつうがえらい」の文庫本。どちらも読んだ気が…

九月になった途端、ネットで毛糸を注文する。一昨日あたりから朝晩は一挙に過ごしやすくなって、冷房に頼る時間もすくなくなった。いよいよ編み物の季節だと思ったら、突然欲しくなった。もっとも当方の買うものは、廃番になって在庫限りというもので、定価…

休暇果つ

「天皇の逝く国で」 ノーマ・フィールド著 ノーマさんの名を知ったのは新聞のインタビュー記事である。心に残る言葉があって、ノートに書き写したのだ。最近たまたま名前を拝見して、検索でこの本を知った。題名のとおり、1988年から1989年、昭和天…

夏負け

「鴎外の坂」 森 まゆみ著 大変な労作である。著者は鴎外亭から徒歩で十五分ほどの近くに生まれ、同姓でもある鴎外に非常に関心をもったと書いている。足跡を追うように「鴎外の暮らした東京の土地の一つ一つを自分でたどりなおして」土地土地にまつわる作品…

水密桃

「アーサーの言の葉食堂」 アーサー・ビナード著 面白かったからとTから回ってきた一冊。よく知らない人だと思ったが、たまたま書評で読みたいと思っていた一冊、「知らなかった、ぼくらの戦争」の著者だと知ってちょっと嬉しい気分がする。ビナードさんはア…

おしろい花

おしろい花は不思議な花だ。日差しが弱くならないと咲かないし、強まるとすぐに閉じてしまう。一昨日の場合、日陰では四時半ごろ、日向では五時過ぎと微妙に違う。朝も八時にはもう萎んでいた。このぶんだと雨の日はどうかしらんと思うのだが。 子どものころ…

線香花火

「盾」という言葉が気になっている。というのは、一昨日の新聞、「日米2プラス2」を終えた小野寺防衛大臣の発言。 自衛隊の役割拡大に記者団から質問が飛ぶと、小野寺氏は「専守防衛の中で、(日本に託された)『盾』の役割を万全にする中での新たな方向だ…

鯔(ぼら)

「空席日誌」 蜂飼 耳著 変わったペンネームだ。以前、Tにこの著者の別の本を薦められた時、「男性なの?女性なの?」と聞いた気がする。今回もやっぱり同じことを聞いて「そうだ女性だった」と思い出した。多才な人である。紹介を読むと、詩人としての活動…

稲の花

「さい果て」 津村 節子著 この筆者の作品は、「紅梅」や「夫婦の散歩道」など吉村氏没後の思い出を書いたものしか読んだことがない。が、たまたまTが古本屋で仕入れてきた山積み本の中の一冊という縁で手に取る。「さい果て」とひとくくりになっている五編…