冬帽子

「あの頃」 武田百合子著 信じられないことだが新刊なのである。没後25年、花さんもお歳を召されてきて、自分の元気なうちにと未収録のものをまとめられたらしい。同一人物だから当たり前だが「富士日記」の百合子さんを彷彿とさせる。帯に「たぐいまれな…

十二月

「薬石としての本たち」 南木 佳士著 以前、この人のエッセイ集『猫の領分』を読んで友人に「なかなかよかった」というようなことを言ったら「暗いから」と軽く否定されたことがあった。確かに語り口が暗い。「臆病な思考回路」とあるとおり自省的で、ああで…

冬ぬくし

「心をたがやす」 浜田 晋著 正直に言ってこの方は存じあげなかった。たまたま図書館で手にした本である。初稿は二十年も前のものらしい。もうリタイアされたが町居の精神科医であったらしい。若月賞を受賞されている。真面目でヒューマンな方である。バブル…

木枯

「語りかける花」 志村 ふくみ著 書評や自著で源一郎さんや若松英輔さんさんが高い評価をしておられたので手にした一冊。染織家で人間国宝、その方面の高名は周知のとおり。以前「桜の幹が桜色をだす」というような文章を読んだこともある。 それにしても色…

時雨

「日本の詩歌」 大岡 信著 これはフランスで行われた日本文学の詩歌に関する講義の原文である。対象が外国人であることと話し言葉の記録であることから、多分読みやすくわかり易いだろうとTから借りた。 中身は菅原道真の漢詩から始まり、古今集から始まる勅…

ちゃんちゃんこ

「日本の『アジール』を訪ねて」 筒井 功著 「アジール」という言葉を知ったのは網野さんの本であったと思うが、むろんそれは中世の話であった。この本はそのアジールが二十世紀の半ごろまで存在し続けていたという事実をレポートしたものである。 「アジー…

朴落葉

「『司馬遼太郎』で学ぶ日本史」 磯田 道史著 今売れっ子の歴史学者の著書である。表紙に「大反響 12万部突破」とある。新聞の読書欄でもベストセラー本として紹介されていたので、予約を待って借りた。読後感を一言で言えば「ガッカリ」。磯田さんの本は…

冬蝶

11月も今日で終わり今年のカレンダーもあと一枚になった。年末らしく家事を張り切ろうというわけではないが、冬用に胸当てエプロンを縫う。フリーハンドで布地に直に線を引いて裁っただけ。ちょっと大胆な柄にしただけ付けるのが楽しいかなと自己満足。 久…

小春日

「北斗の人」 司馬 遼太郎著 家の古本屋に出す予定のダンボール箱の中から拾い出してくる。久しぶりの司馬さんの小説でかなり面白かった。「北斗の人」とは北辰一刀流をあみだした幕末の実在の人物、千葉周作のことである。剣術を合理的精神で追求し「近代的…

毛糸編む

九月初めから編み始めたアラン模様のチュニックベストが出来た。若草色で本人としてはまあまあ気に入っている。長いこと自己流で編んできて今回つくづくわかったのは編み手が緩いということ。指定された糸と針の太さで編み始めたのでゲージも確かめなかった…

散紅葉(ちりもみぢ)

「うたかたの日々」 諏訪 哲史著 朝日新聞の名古屋版に長く続いた「スワ氏文集」をまとめたものである。これは第二弾で2012年以降のもの。他に別の新聞などに掲載されたエッセイも含んでいる。 さて、「スワ氏文集」といえば一番愉快なのはコテコテ名古…

雪ばんば

今日は二十四節気の一つ「小雪」。「寒さが進み、雪が降り始めるころ」というが今年はまさに暦どおり。一昨日の冷え込みで伊吹山も奥美濃の山々もいっぺんに白くなった。昨日は岐阜でも初氷を観測したとテレビのニュース。例年より早い冬の訪れはトシヨリに…

冬の駅

「知らなかったぼくらの戦争」 アーサー・ビナード著 戦後七十年の一昨年、英語にはない「戦後」という意味を考えてみたいとビナードさんが始めたインタビュー。自身のラジオ番組で紹介したものを書籍化した本である。短いインタビューだが様々な戦争体験が…

暮早し

H殿がボランティア先で「ハヤトウリ」と言う野菜を頂いてきた。洋梨に似たずんぐりとした瓜である。薩摩地方で作られるので「ハヤトウリ」というらしい。半分にして皮をむき試食してみる。胡瓜よりは少し堅いが同じような歯ざわりで味はやや青臭い。検索した…

風呂吹き

年の瀬なみの寒気になるというのでH殿と寒さに弱い鉢物を取り込む。株分けなどでだんだん増えて、物置や母家にも取り込みきれないのが困る。軒下に簡単なフレームを作りここにも入れたのだがこれで冬越しができるかどうか怪しい。まだ数鉢は本格的寒さまで待…

黄葉期

「応仁の乱」 呉座勇一著 ベストセラー本であり、司馬さんや内藤湖南先生が「応仁の乱」は歴史の転換点だと言われるし、これは読むしかないと借りてきたのだが、いやはや複雑で三分の一を残してお手上げ状態である。跡目相続の争いやら権力闘争、利害が複雑…

隙間風

「歴史の中の邂逅 1 空海〜豊臣秀吉」 司馬 遼太郎著 400ページもある随分と厚い本である。司馬さんの亡くなった後に、おそらく未収録の歴史の関するエッセイを集成したもので、一巻目は古代史から豊織時代までの内容である。司馬さんの語り口が懐かしく…

お茶の花

姉を訪問と長沢芦雪展 どちらも名古屋市の中心部なので一緒に。姉とは日曜日に電話で話したばかりなのでおおよそはわかっていたが、実際に顔を見て元気だったのでほっとした。認知症も思ったほどは進んでいない。こちらの顔を忘れたなどということはなく、我…

冬来る

二十四節気の一つ、「立冬」。暦の上では冬である。庭に出たらすでに雪虫が飛んでいた。今年は長雨のせいで秋のいい時期が短かった。 夜は急に冷え込む日も出てきたので鍋料理をと「土鍋」を出す。我が家には大・中・小と三つの土鍋があるが出番の多いのは中…

草紅葉

体調が戻ってきたせいもあって姉のことが気になっていた。陽気のいいうちに一度顔を見に行かねばと甥と連絡をとる。休日でちょうど施設訪問中の甥が電話をしてくれ、ひさしぶりにに姉と話す。普通の会話ができ元気で、いい意味でびっくり。小規模の介護施設…

紅葉

好天に誘われて、紅葉でも見に行こうかということになる。目的地は奥美濃の長滝白山神社。我が家からは高速なら小1時間の距離である。長良川に添って北上するほどに紅葉は真っ盛り。全山が真っ赤に見える山があり、一瞬赤土がむき出しなのかと思い違いをし…

鯛焼

「幕末日本探訪記」 ロバート・フォーチュン著 著者は英国人のプラントハンターである。植物採集のために幕末の日本を訪問。だいたいプラントハンターなる仕事が珍しい。こういう役割の人を国家事業として未知の国に派遣するというのもいかにも大英帝国らし…

二週連続の週末の台風、この辺りは大雨だけですんだ。十月末になっても台風などといって入る間に秋も過ぎていく。終日雨に降り込められたのでワールドシリーズを見ながら縫い物。大分前、縫い合わせておいたパッチワークらしきもののまとめ。作り始めた時は…

夜長

二日続きの晴れで、気持ちのいいのは人間さまばかりではないらしい。朝早くから小鳥たちが賑やか。ケタケタケタと叩くように騒がしいのはモズ。さかんに縄張り宣言である。キーッと鋭いのはヒヨドリ。他に聞いたことのない声に見上げてみたら初めて見る鳥。…

赤蜻蛉

「残花亭日暦」 田辺 聖子著 書評で高橋源一郎さんが今、オバアチャンたちが面白いというようなことを言っておられたのを読んで、いつも元気なお聖さんから元気を頂こうと読み始める。ところがこれはご主人のカモカのおっちゃんが亡くなられる前後の日記で笑…

台風

「家族の昭和」 関川 夏央著 関川さんは「昭和」にこだわり続ける人である。「文芸表現を『歴史』として読みときたいという希望が、かねてからある。そこで今回は、昭和時代を『家族』という切断面で見ることを試みた。」のだそうだ。対象となったのは向田邦…

団栗

「どんぐり」 寺田 寅彦著 団栗の写真を撮ったので団栗の句を詠みたいと、いろいろ考えた。いくつか拾って独楽にして大事にしまいこんで虫を沸かしたという体験は、自分にも子供たちにもある。夫は団栗を蒔くと言って敷地の一角にクヌギを生やしてしまった。…

運動会

「女の民俗誌」 宮本 常一著 この本を称して、解説で谷川健一氏が「かえりみられることなく消えていった無名の女たちの生活誌」だと書いている。まさにそのとおりで、貧しくもたくましく生き抜いてきたわれらの先達の話である。彼女らの苦しい生き方に比べた…

秋の雨

季節が半月ほどずれているような気がする。例年なら「天高し」の頃だと思うのに連日の雨。小寒いのも相まって気持ちが晴れない。それでも昨日は降り込められたのを逆手に終日縫い物。ひさしぶりに夢中になった。なんて言うことはない「袋物づくり」。材料は…

石叩

今朝の新聞である。「俳句不掲載 市に賠償命令」との記事。なんでも9条デモが題材になった俳句が「公民館だより」への掲載を拒否されたのが発端らしい。拒否の理由が「公民館が公平中立の立場であるべき観点から好ましくない」というのだが、問題の俳句がど…