志段味古墳群を見に行く 名古屋市守山区上志段味というエリアには古墳時代を通じて古墳が造られつづけ、66基もある大規模な古墳群となっている。庄内川の河岸段丘上で、この川を利用して勢力を伸ばしたこの地の首長やその配下の人々の墳墓である。 最大な…

春落暉

映画『パーフェクトディズ』を観る 言わずと知れたヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演の映画である。U-NXTで配信されるのが待ちきれず大雨の中映画館に出かけた。家族揃っての鑑賞で、初めての体験だ。 さて、映画である。文句なくいい映画で、今も劇中…

春の夢

『隆明だもの』 ハルノ 宵子著 久しぶり自前で購入した本。ハルノさんの本の面白さは『猫だましい』ですでに納得済みだ。Tと連れ合いと三人で回し読みするつもり。 昨日の朝日の読書欄の平川克美氏の書評に立派なことは書かれいるので、ここではどうでもよい…

雪解

『むすんでひらいて』 玄侑 宗久著 Tから回してもらったものだが、なかなか難しくて半分もわからなかった。 玄侑さんに、哲学が専門という大竹さんがいろいろたずねるという形式で、書かれた本である。「いのち」とは何か、「死」とはどういうことなのかと、…

春日和

『砂のように眠る』 関川 夏央著 関川夏央氏が好きである。岡武さんのブログで知って、図書館の閉架から出してもらった。副題に「むかし『戦後』という時代があった」とある。戦後・・・1950年代後半から70年代始めまでの時代風景の概観である。 小説…

二月尽

『生き物の死にざま はかない命の物語』 稲垣 栄洋著 図書館で自然科学(4類)を借りたのは初めてではないか。以前読んだ『老年の読書』で気になった一冊。 身近な生物(植物も含む)の一生を概観、彼らが「限られた命を懸命に生きる姿を描いた」本である。…

蕗味噌

冷たい雨の一日 雨の日は落ち着いて厨仕事ができる。まあ年中暇人だからいつだってできるのだが…。マーマレードは最近6回目を作ったばかりなので、今日は冷凍をしておいたフィリングでアップルパイをおやつに。昨日笊いっぱいに蕗のとうが採れたので蕗味噌も…

下萌え

『ペンギンの憂鬱』 アンドレイ・クルコフ作 沼田恭子訳 ウクライナの作家である。この本はロシア語で書かれたらしいが、最近の執筆はウクライナ語に変えたと新聞で読んだ。1996年の作で舞台はソビエト連邦の崩壊後。独立はしたものの国家的には混乱が続…

春一番

『道長ものがたり』 山本 淳子著 今話題の「藤原道長」についての本である。巻末にきちんと年表も参考文献もついた学者の方の書であるにもかかわらず素人が読んでも実に面白かった。もちろん書かれるのはテレビとは一線を画した道長の実像だ。 道長は藤原兼…

啓蟄

陶片と古墳、グラスアートを見に 春めいた陽気に誘われて久しぶりにお出かけ。東濃の土岐市と多治見市である。 土岐市美濃陶磁歴史館が、このたび建て替え前の休館に入るということで、収集の陶片2000点の展示会を行っている。 土岐市の元屋敷という古窯…

春の風

近頃観た映画 ヒューマンドラマというのは、「よかったなあ」と思うだけであまり何かを語りたいものではないが、最近観た二本の映画について記録のためにメモすることにした。 『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』 2015年公開の邦画。ただし監督…

春寒し

『歌枕』 中里 恒子著 岡武さんがブログで取り上げていた本。どんな文脈での紹介だったかは忘れた。 古風な文体と筋書である。初めての言葉がでてきた。肉池とは前後から予想ができたが、黄白とはいったいなんだろう。お金のことを言うそうで、初耳である。…

春の雪

『灰色の魂』 フィリップ・クローデル著 高橋啓訳 話は、1917年。ドイツとの国境に近いフランスの片田舎での殺人事件から始まる。川面に浮かんだ被害者は村の料理屋の十歳にも満たぬ末娘。「べっぴんさん」とも「昼顔」と呼ばれた妖精のように美しい少女…

春隣

『日本蒙昧前史』 磯崎憲一郎著 先週今週と、心に引っかかっていた内視鏡検査が終わった。概ね問題はなかったが一部生検があり、詳しい結果を聞くのは今月中旬となる。案じていた胃カメラは鎮静剤の使用を選択したため眠っている間に全て終了、全く苦痛はな…

『友ありてこそ、五七五 』東京やなぎ句会編 多士済済の東京やなぎ句会も、小三治さんの逝去で2021年に終焉したことは既に触れた。出版当時(2013)はまだお元気の方も多いが、宗匠光石さん(入船亭扇橋)が脳梗塞で入院、翌年には変哲さん(小沢昭一)の逝去と有…

『ガザに地下鉄が走る日』 岡 真理著 一昨日の新聞によれば、ガザ保健省は、2023年10月7日からのイスラエルの攻撃での死者は2万5105人、負傷者は6万2681人となったと発表した。1948年のナクバ(イスラエルの建国でパレスチナ人が国を追…

冬木立

『映画 Dr.コトー診療所』を観る 久しぶりに映画を観る。去年公開した映画だ。知らなかったが漫画が原作で、何年か前に前作が発表されているようだ。これは前作の後日談ということで、前作をしっている視聴者には懐かしさもあろう。一言で言えばヒューマンド…

初場所

『十二支動物誌』 宮地 伝三郎著 その2 ネズミ ねずみ算というがそんなに増えるものではない。食料を漁るうえで排他的なわばり制がネックになる。ネズミの特徴はのみのような門歯で一日で0・5ミリも伸びる。目はは駄目だが、耳は聡く口ひげも敏感。鼻につ…

『十二支動物誌』 宮地 伝三郎著 その1 年始のチコちゃんでの十二支についての新知識によれば、十二支は中国殷代に始まり南アジアや中東、遠くはトルコまで広まっているらしい。十二支の顔ぶれは国々で多少違いベトナムではウサギの代わりがネコだったり、…

着ぶくれ

気が乗らない 図書館から何冊か借りてきた。谷川さんとか井上荒野さんとか、読み始めるが、ちっとも面白くない。読み散らしているうちに、何で読んでいるのだろうと嫌になって放り出してしまう。 Tの本棚から古井由吉自選短編集を出してくる。辛うじて「秋の…

松の内

『桃太郎のユーウツ』 玄侑 宗久著 Tに借りて久しぶりの小説読みである。表題作を含めて6編の作品集。玄侑さんに似合わずなかなか毒のある作品集だ。少しまえに読みかけたエッセイ集『禅のアンサンブル』で、「我が身の経営にとって最も重要なのは自分の機…

三日

元旦のなゐまだ止まずはや三日 新年の挨拶も憚られる思いもかけぬ年初めとなりました。被災された方々のことを思うと正月行事も憚られるのですが、昨日は恒例の娘一家との新年会と初詣。今年は孫の就職活動と大学受験ですので、神頼みをしてきました。 写真…

去年今年

『老年の読書』 前田 速夫著 世界各地で争いは続き、いつの間にやら武器輸出、今や戦争は他人事ではなくなりつつあり。一方、この国の相対的地位はあらゆる面で落ち続け、かつての勢いはどこにもない。それでいて、政治は相も変わらず、裏金やら買収やら、日…

年の瀬

今年の三冊 だんだん衰えてきたのか、興味が持てなくて本が読めない。今年は何時もの三分のニほどだ。こんなことで「今年の三冊」もないもんだが、自分の記録として書いておこうと思う。以下三冊。 世界は五反田から始まった 星野博美 縄文文化と日本人 佐々…

柚子湯

『裏日本的 くらい つらい おもい みたい』 正津 勉著 今朝ー0・7度、この冬一番の冷え込み。奥美濃の積雪は40センチと昨夜のニュース。 奥美濃と隣り合った筆者の産土(福井県大野市)も、多分どっしりとした雪ならん。 「ここがいがいに大陸に近くあっ…

風花

『日本人の源流』 齋藤 成也著 NHKBSで「日本人とは何者なのか」という番組を観た。DNA解析を通じて、日本人のルーツに迫ろうという内容で、とても面白かった。 最初に日本列島に棲み着いた縄文人と稲作文化を伝えた弥生人が混血して現日本人の元になったこ…

枯葉

『またたび』 伊藤 比呂美著 三日ほど前から右側の肩甲骨の下辺りが痛くて、鎮痛剤のお世話になっていたが、どうやら回復。今日は陽気も暖かいからと(異様といっていいほどの暖かさ)窓拭きに奮闘する。下の部屋部屋の窓は、どうにか拭き上げたが、二階は知…

時雨

『入り江の幻影』 辺見 庸著 旧友に薦められて読んだ。エッセイとフィクション、重い内容だ。 去年、タモリさんが「2023年を新しい戦前」と捉えたという話を聞いた時、さすがタモリさんだと感心もし納得もした。著者はそれに触れて、今の覚束ない時代を…

冬ざるる

『グレイラットの殺人』 M・W・クレイヴン著 東野さやか訳 新聞の文庫本案内で見つけて読み始めたのはいいが、709ページもあり随分時間がかかってしまった。つまり夢中になるほど面白かったわけではない。 要は復讐譚である。犯罪現場に「グレイラット」…

毛糸編む

ベストを編む 去年、身頃を編み上げておいたものの仕上げをする。 もともとカーデガンを編んだのだが、太い毛糸のせいか重くて気に入らなかったので、思い切って編み直したのだ。同じパターンで二着ほど編んでおり、難しい編み方のものではない。チュニック…