「沖縄の歴史と文化」 外間 守善著
昨日の朝刊に「列島の南北を結ぶ縄文土器」とあって、沖縄北谷町での出土品が亀ケ岡土器の破片であったと紹介されていた。亀ケ岡といえば東北も最北端で、最北端と最南端がすでに先史時代から結びつきがあったというのがとても興味深い。
この本でも沖縄の文化に触れて大陸系、南海系もあるが前者の方の密度が濃く、それも本土の九州を経由して入ってきたものだとある。なんといっても沖縄語は日本祖語から分岐したもので、2・3世紀ごろのことらしい。
沖縄と本土の大きな違いは歴史発展の落差が800年から1000年もあることで文字の伝来や使用が13世紀、鉄製農具の普及が14世紀、中央集権的国家の成立が15から16世紀、地の利を活かした貿易国家として盛大に栄えるのだが、その豊かさに目をつけた薩摩に武力で制圧され、幕藩体制に組み込まれてしまう。その後は「同じ日本人なのになぜ沖縄だけが負の部分を背負わねばならないか」と怒りと嘆きで語られてる現状そのままである。
沖縄の歴史や文化については、正直に言ってよく知らなかった。概要ではあるがこの本を読んでおぼろげながらつかむことができた。この本にあった沖縄出身の詩人。山之口獏の詩から。
島の土を踏んだとたんに
ガンジューイとあいさつしたところ
はいおかげさまで元気ですとか言って
島の人は日本語で来たのだ
郷愁はいささか戸惑いしてしまって
ウチナーグチマディン ムル
イクサ二 サッタルバスイと言うと
島の人は苦笑したのだが
沖縄語は上手ですねと来たのだ
獏の戸惑いが目に見えるようだ。今の若い沖縄県人は沖縄語がわかるのだろうか。
朝からカー公が柿の木に騒がしい。見ていると蝉を捕獲している。短い命をカー公に捕らえられて哀れ。
泥の身を泥のごとくに三尺寝